普段皆さんが目にしている、いわゆる道路といわれている部分です。
今まで施工してきました路床、路盤、基層の一番上の表面に存在しているのが表層です。
表層工こそが、舗装工にとっての1番の花形です。
作業方法は基層と基本変わりはありません。
ただし、道路の顔といえる表層に関しては、特段綺麗に仕上げる努力を
惜しんではいけません!
◆表層工
1.タックコート
基層と表層、または付帯構造物などとの付着を良くする目的でタックコートを行います。
一般にアスファルト乳剤(PK-4)を1平方メートルあたり、0.3~0.6L程度散布します。
タックコートやプライムコートのようなアスファルト乳剤によるコーティングは、設計上
強度とは関係ありませんが、舗装道路の耐久性に大きく影響する事が分かっています。
2.アスファルト舗設
基本的には基層工と同じような作業を行っていきます。
アスファルト混合物(合材)が熱いうちに締め固めを行いましょう!
これまでの下層の不陸を解消し、きっちりと平坦に仕上げなければなりません。
基層工と同じようにアスファルトフィニッシャーで、アスファルト混合物を敷き均し、
ローラを用いて締め固めを行っていきます。
◆表層工のポイント
基層工と同様に連続作業が基本です。
それを踏まえて出来形、品質の低下を及ぼさないように
以下のポイントを押さえ、しっかりと準備をしましょう。
1.天候
表層工は雨が天敵で、施工後の強度に影響を及ぼすため天候には留意が必要です。
成型や転圧の前に雨で冷えるため、必要となる強度が確保できなくなります。
無理に作業を継続してしまいますと、舗装面の劣化を早め、
ひび割れが発生しやすくなります。
成形も難しいため、ゆがんだ道路が出来上がり交通の妨げや事故の原因にもなり得ます。
【雨天時の対応】
・基本的には雨の日は避ける。
・梅雨などの時期は避ける。
※施工面が雨に濡れないように養生をして、保護をしながら行う。
しかしながら、工事には工期、納期が存在します。
長期間の雨や納期限が迫っているときは例外的に工事は行われます。
そんなときは、品質を落とさないためにしっかりと保護をしましょう。
舗装工事は天候の影響を受けやすい仕事です。
品質管理が難しくなるため、天気には十分に気を配ります。
2.打ち継ぎ目
表層工には打ち継ぎ目が存在します。
打ち継ぎ目とは舗装と舗装の境目のことで、施工を中断して再び施工した際に生じます。
幅員や広さによって変わりますが、一度で道路全体を施工することは出来ないことが
ほとんどです。
例えば、片側1車線の道路を施工した場合、この車線を舗装したあと、
反対車線を舗装するといった様に、車線と車線の境目に継目が生じます。
締め固めが不十分だとこの継目部分がだんだんと広がっていき、剥離してしまいます。
※打ち継ぎ目の転圧は一番最初に行います。
また、打ち継ぎ目は上下層の継目が重ならないようにする事が大切です。
さらに、区画線(センターラインなど)の横面に合わせると、最も綺麗に仕上がります。
3.交通解放
舗装工事は、基層や表層の転圧が終わり次第、交通解放をしなくてはならない
ことも多くあります。
通行止めや車線規制などが無駄に長引かないようにすることが大切です。
昼間の工事であれば、8:00~17:00(交通量によっては9:00~16:00)までが
施工時間となります。
交通量が極めて多い朝の通勤や、夕方の帰宅時間に解放できるように努めることが
大変重要であります。
※交通解放温度に注意
一般的には舗装面が50℃以下になってから行います。
交通解放温度が高いと、わだち掘れの原因となったり、
舗装表面が荒れてしまうこともあります。
※季節による気温の違いに注意
・夏場など外気温の高い日は、温度の降下が非常に遅いです。
『何時までに交通解放をするから、この時間までに表層工を終わらせられるように
しよう!』
といったように、スケジュール管理がとても重要となります。
作業は終わったのに、50℃以下になるまでまだ何時間もかかる…
現場を引き上げられたのに無駄な残業となってしまい、疲労も重なります。
現場代理人はしっかりと準備をしましょう。
・逆に冬場は温度の低下が早い
アスファルト合材の硬化が早いため、悠長に作業をしたり、
ダンプによる合材供給の段取りをしっかりしていないと
転圧の効果がきちんと出なくなり、品質の低下を招きます。
速やかに交通解放を行いやすくなりますが、品質が低下してしまっては
意味がありません。
表層工は工程管理が非常に重要となってきます。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
皆様が普段通行している道路の顔の部分、表層工のお話でした。
普段意識をしていないと気付きにくいかもしれませんが、
自動車で走っていて、やたらスムーズで滑らかな道路の存在に
気付くことがあると思います。
平坦で均一に滑らかで、勾配もしっかりとってあるから雨水も溜まらず
側溝に流れていく…。
舗装工事業の努力の結晶なのです。
逆にこの道ボコボコしてるなぁ…と思うこともあると思います。
いくつかの原因が影響してそうなってしまうこともありますが、
品質の低下をさせないため、日々工程管理をしっかりとしていく
必要があります。
表層工は舗装の品質や耐久性に大きく影響を与えるため、
正確かつ慎重に作業を行うことが求められます。
皆様が安心、安全に道路を使用でき、快適な生活を送れるよう
日々精進していきたいと思っております。
株式会社 弘和道路